中小事業者の節税対策 小規模企業共済その2

前回ご紹介した小規模企業共済については、掛け金を払い込むことによる節税効果だけではなく、実は共済金の受け取り方で節税できる場合があります。

今回は受け取り方といった視点を中心に考えてみたいと思います。

1 共済金の種類

(1)個人事業主の場合

個人事業主の場合、共済金は請求事由によって以下のように分類されます。

共済金等の種類請求事由
共済金A個人事業を廃業した場合
共済金B老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をした場合
解約手当金任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)

(2)法人の役員の場合

法人の役員の場合、共済金は請求事由によって以下のように分類されます。

共済金等の種類請求事由
共済金A法人が解散した場合
共済金B病気、怪我の理由により、または65歳以上で役員を退任した場合
共済契約者の方が亡くなられた場合
老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金法人の解散、病気、怪我以外の理由により、または65歳未満で役員を退任した場合
解約手当金任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)

参考:中小機構 小規模企業共済 共済金について

2 共済金を受け取る場合の税法上の扱い

共済金と解約手当金は、受け取る際の年齢や受け取り方法などによって取り扱いが異なり、様々なパターンがあります。

税金の種類別に紹介すると、次のような共済金受け取りが該当します。

退職所得

・共済金または準共済金を一括で受け取る場合

・65歳以上の方が任意解約による解約手当金を受け取る場合 など

公的年金等の雑所得扱い

・共済金の分割受け取りの場合

相続税

経営者が死亡し、遺族が共済金を受け取る場合 など

一時所得

65歳未満の人が任意解約による解約手当金を受け取る場合、機構解約で解約手当金を受け取る場合

上記のように、例えば長年掛け金を積み立てて将来、退職金として共済金を受け取るといった場合には、基本的には「退職所得」か「公的年金等の雑所得扱い」になる、ということになります。

3 受け取るときに課税されるのに、節税になるのか

掛け金の支払い時に、全額所得控除ができても、結局将来共済金等の受け取り時に課税されてしまうのであれば、あまり節税効果がないのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、通常の「事業所得」や「給与所得」と異なり、「退職所得」・ 「公的年金等の雑所得」 は税金の面で優遇されていて税率が低く抑えられています。

なので、掛け金積み立て時には所得控除になり、かつ、将来共済金を受け取るときには税金面で優遇されている「退職所得」・ 「公的年金等の雑所得」 として受け取ることができるという点で節税になる、と考えることができます。

4 小規模企業共済の留意点

掛け金の掛け捨てリスク

掛け金納付月数が、12か月未満の場合は掛け捨てになってしまう可能性があるので、注意が必要です。

注意事項
掛金納付月数が6か月未満の場合は、共済金A、共済金Bはお受け取りいただけません。また、12か月未満の場合は、準共済金、解約手当金はお受け取りいただけません。

中小機構HP:https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/proceed/index.html

・20年未満で任意解約した場合は元本割れとなる

掛け金納付月数が、240か月、つまり20年未満で任意解約した場合は、掛け金合計額を下回ってしまいます。

20年というと、かなりの長期間になりますので、加入の際には十分に検討することが必要です。

5 まとめ

前回、今回と小規模企業共済について考えてみました。

小規模企業共済は、簡単にまとめると将来への備えのため退職金として掛け金を積みたてることができ、その掛け金全額が所得控除になり、さらに将来受け取る共済金は、税制面で優遇されている退職所得等として扱われるといった高い節税効果のある制度だといえると思います。

ただ、短期間で任意解約等となると元本割れになるなど留意すべき点もありますので、加入の際には目先の節税効果にのみとらわれることなく、十分に検討するなど留意が必要です。

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