登記上の本店所在地と実際の事務所が異なる場合、どうなるのか
一人で会社を経営されている場合、登記上の本店所在地と実際の事務所の場所が異なる場合が多々あるかと思います。
例えば、起業当初は自宅を事務所として業務を行いたいものの、居住用の賃貸物件で登記ができないため、登記上の住所のみシェアオフィスにして、実際はほぼ自宅で業務を行う場合などです。
このような場合、税務上どのような対応が必要なのかを簡単にまとめてみたいと思います。
1 国税について
法人税などの国税については、登記上の本店所在地を所轄する税務署に申告する形になるので、実際の事務所がほかの場所にあったとしても特に影響はありません。
2 地方税について
法人住民税などの地方税については、複数の区や市に事務所などがあれば、それぞれの区の事務所について法人住民税均等割という固定の税金がかかります。
例えば、東京都の渋谷区に本店所在地があり、それに加えて中央区に別の事務所があれば、渋谷区と中央区のそれぞれについて法人住民税均等割の税金がかかることになります。
ただし、本店とは別に事業所を構えている場合でも、本店があくまでも登記上のみの扱いで、常駐の従業員がおらず、営業活動を行っていないのであれば、この本店は法人住民税均等割の課税対象にはなりません。
3 必要な手続き
仮に上記の例に倣って、本店が渋谷区、実際の事業所が中央区であった場合とした場合に必要な手続きについて記述します。
この場合、必要な対応としては、まずは登記上の本店所在地である渋谷区域を所轄する都税事務所に「法人等設立(異動)届」を提出し、その書類に「本店所在地は登記のみで事業活動をしない」旨を記述した届け出を行っていただくとともに、中央区を所轄する都税事務所に実際に業務を行う事務所の届け出を行うといった流れになるかと思います。
ただし、実際に課税対象とするかしないかの判断や手続きの方法は自治体によって異なる可能性がありますので、お住いの自治体に確認されることをお勧めいたします。